みんなの給与計算教室

たのしく給与計算の方法を学ぼう

年末調整、あなたはいくら戻ってくる?それともとられる?

【最新版!】平成28年分の書き方(扶養控除等申告書)についてはこちら

見落としやすいポイントをまとめてます

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SmartHRで年末調整


こんにちは、給与計算教室です。
今年も残すところあと数日。だいたいの会社では、今月12月のお給料日にて年末調整の還付/追加徴収が実施されることでしょう。ほとんどの人が還付されるパターンなので、忘年会シーズンの足しにしようと考えてる人もいるかと思いますが、たまに還付ではなく追徴される人もいるので油断はなりません。

いくらか戻ってくると思ってたのに追徴されている!!なんでこの俺が!!給与担当者に殴りこみだ!!!!1といったような事態になっては大変ですし、結局追徴金額が正しかった場合、あとから恥ずかしい思いをするのは自分ですから、まずはこの記事をよく読んで、それでも納得できなければ冷静を装って質問しにいくのが最善かと思われます。

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そもそもなんで還付/追徴が発生するの?

第6回給与計算教室 〜所得税を納めよう〜 - みんなの給与計算教室でも書いたとおり、私たちは1月〜12月でかせいだ所得に応じて所得税を納めますが、会社勤めのひとはあらかじめ1年かけて、概算額を給与から天引きされていきます。

で、どうやってその概算額が決まっているかというと、「今月これだけ稼いだなら、このペースでいけば年収いくらで、扶養家族が◯人なら所得税額もこのくらいだな、じゃあそれを12で割った金額を天引きしとくか」ってな具合で、毎月毎月わりと適当なんですよね。

でも実際は、年末調整書類の書き方その1その2でも説明したとおり、おなじ扶養家族でも70歳以上や大学生の年齢だともっと所得税が安くなったり、生命保険料なんかを払っていたらさらに安くなったりなど、いろいろ配慮してくれる事項が多いですよね。なので1年間天引きされてきた所得税額と、本当の所得税額にはズレが生じやすくなり、それを還付/追徴で清算してくれるのが年末調整であります。それでは以下、それぞれの代表的なパターンをみていきましょう。

追徴があるパターン(思ってたより還付されなかったパターン)

その1:途中で扶養家族が減ったorそれを給与担当者に報告するのが遅れた

例えば給与太郎さんは、妻の花子さんと、ニートの次郎くんの2人を扶養しています。なので毎月のお給料では、扶養家族が2人いる計算で所得税が天引きされてきました。

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しかしその途中、ニートの次郎くんがめでたく就職、今年の年収が103万を超える見込みとなったため、太郎さんの扶養から抜けました*1。なのでそれ以降は扶養家族が1人しかいない計算で天引きされることになるのですが、問題はそれより前に天引きされてきた所得税です。

次郎くんが扶養から抜けたのは年の途中でしたが、年末調整はあくまでその年の12月31日時点での状況で所得税を計算するので、次郎くんが何月に扶養から抜けようとその年は最初から扶養家族でなかったことになります*2

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なので途中まで安くしてもらってた所得税を、年末調整で返さないといけないのです。扶養家族が減ったのが今年の後半であればあるほど、返す額が大きくなるので、最近減った人は少し心の準備をしておいたほうがいいでしょう。

その2:ボーナスがふだんのお給料のわりに多すぎた

ボーナスからも所得税が天引きされているかと思いますが、その計算方法がちょっと特殊なのであります。単純にボーナスの金額に所得税率をかけて算出するだけなのですが、その所得税率というのが、ボーナスの金額によって決まるのではなく、前月のお給料の金額によって決まってくるのです。

そのため

  • 前月のお給料が高かったわりにボーナスが安い*3→のに所得税率は高い
  • 前月のお給料が安かったわりにボーナスが高い→のに所得税率は低い

という矛盾がおこり、最終的な年間の所得税額と差異が発生しやすくなります。ボーナスいっぱいもらって年収も高くなっているのに、税率が前月のお給料のせいで低めだと、もっととったれ!ということで年末調整で追徴されてしまうわけですね。

その3:12月のお給料からは所得税が徴収されない方式だった

これは会社によりけりですが、普通は12月分の所得税も天引きする処理をしてから、年末調整の還付金/徴収金を算出するのが一般的です。

でもたまに、どうせ清算するし、最後のお給料からは所得税を天引きしない場合も。なのでその人の最終的な所得税額が10,000円に決まったとしたら、

  • 1月〜12月まで1000円ずつ徴収→合計12,000円→2000円の還付
  • 1月〜11月まで1000円ずつ徴収→合計11,000円→1000円の還付

ということになって、11月までしか徴収されてない人のほうが還付金が少なくなります。まあでも結局、手取り金額は同じになるんですけどね。

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思ってたより還付されるパターン

その1:途中で扶養家族が増えたorそれを給与担当者に報告するのが遅れた

これは徴収されるパターンその1の逆パターンですね。しかしよくあるのが、今年は子どもが生まれたから還付金が増える!という勘違い。残念ですが所得税が安くなるのは16歳以上であることが条件です。

あとは結婚して奥さんが専業主婦になるとすぐ扶養家族としてカウントしがちですが、最近まで仕事をしていたとかで、すでにその年103万以上*4稼いでるなら今年は扶養家族として計算することはできません。できるのは来年からですね。
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その2:新社会人など、年の途中から収入が発生した

年の途中まで学生だったとか、無職だった場合は、若干還付金が多くなります。なぜなら、新卒で4月入社・月給20万だとすると、月20万✕12ヶ月でこいつは年収240万だと推定されながら毎月天引きされるのですが、しかし働き始めたのは4月からなので、実際の年収は20万✕9ヶ月=180万ですよね。なので多く取り過ぎちゃったね、ってことで還付金が多めに発生したりします。

その3:入社一時金など、臨時収入的なものが支給された月があった

これも理由はその2によく似ていますね。月給20万の人に、なんらかの一時金*5として50万支給されたとしましょう。

すると20万+50万=70万✕12ヶ月→こいつは年収840万だ!!と認識され、その月はかなりの所得税が天引きされてしまいます。しかし実際この人の年収、20万✕12ヶ月+50万=290万のはずですよね。推定された高い年収と実際の低い年収に差があればあるほど、還付金が発生するという仕組みというわけですね。

還付と追徴、どっちがお得?

還付されようが追徴されようが、結局はその年の所得から正しい所得税額を算出してそれを精算しているだけなので、損得関係ないということはお分かりいただけるかと思います。

とはいえ還付金があると、つい得したような気分になりますよね。でもよく考えてみると、例えば10万円の還付金があった人は、10万円をこの一年間、国に無利子で貸していたとも言えます。もしその10万円が手元にあったなら、自分で資産運用していくらか増やすことも可能だったわけですよね。そういう視点でみると、たくさん還付されるのは一概に嬉しいこととは言えないかもしれません。まあでもわたしの場合は手元に10万あったらすぐに使ってしまうと思うので国に預けていたほうがよっぽどいいんですけどね。そのへんは人それぞれですね。


以上、年末調整の還付・追徴についてのお話でした。具体的な金額は本当に人それぞれなのでここで申し上げることはできませんが、まああえて言うなら、独身で民間の保険も未加入、毎月のお給料もたいして変動なくつつましく暮らしていた場合、だいたい5000円前後の還付、ってところでしょうかね。。あとはボーナスの金額によって変わってくると思います。

さて次回は本年最後の給与計算教室、ひとまず大きな締めくくりということで、源泉徴収票の読み方についてやりたいと思います。それではまた次回〜

※この記事の内容は更新日時点のものです。法改正など制度が変更されている場合もありますのでご注意ください

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SmartHRで年末調整

*1:103万以下であれば扶養家族でいることができます。

*2:亡くなった場合はその年の扶養家族としてカウントされます。

*3:だいたいボーナスは月給2.5ヶ月ぶんが目安であるという基準で考えて下さい

*4:141万未満であれば配偶者特別控除が適用されます

*5:普通は賞与とみなして処理するのが妥当ですが、ここでは賞与ではなく普通のお給料として処理されたとします。

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