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第4回給与計算教室 〜年金のこと、知っておこう〜
こんにちは。
4月を迎え、めでたく昇給となった人もいるかと思いますが、
これを機に自分のお給料を見つめなおしてみるのもまた一興。
新しい発見があるかもしれません。
今月も先月に引き続いて、社会保険料のはなしです。
そろそろ5種類の名前と分類、覚えましたか?
| 保険のなまえ | 分類 | 備考 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 社会保険 | 75歳からは後期高齢者医療制度へ |
| 介護保険 | 社会保険 | 40歳から加入 |
| 厚生年金保険 | 社会保険 | 70歳まで |
| 雇用保険 | 労働保険 | 65歳になる年度から不要 |
| 労災保険 | 労働保険 | 保険料は会社負担 |
今日はみっつめ、厚生年金保険料について学びましょう。
なんのための保険料?
まずはなんといっても、将来65歳(原則)から年金をもらうためです。
しかし今自分が払っている保険料がどんどん貯蓄されていって、
65歳になったらそれがいくらか増えて戻ってくる、というわけではありません。
今の私たちの保険料が、そのまま今のお年寄りたちの年金となっています。
これが、近い将来年金制度やばいと言われている所以です。
少子高齢化が進めば進むほど、収支のバランスが崩れていくわけです。
かといって年金に加入しないのもおすすめしません
(まあ加入必須なので、そもそも入らないという選択はできないのですが)。
なぜなら65歳になったらもらえる年金(老齢年金)の他にも、
- 障害年金
- 遺族年金
がもらえるからです。
条件をクリアすれば、若くして障害をおうことになっても年金が出ます。
また自分が死んでも、残された遺族に対して年金が出ます。
「もしも」の場合に備えて、年金は納めるにこしたことはないはず。。
と自分で自分を納得させて払っていくしかありませんな。
国民年金と厚生年金の違いって?
日本の年金は2階建てといわれています。こんなかんじです。
(基金も入れて3階建てともいいますが、今回は省きます)

- ①第1号被保険者:20歳以上〜60歳未満の学生や自営業者など。
- ②第2号被保険者:サラリーマンやOL(厚生年金)・公務員(共済年金)
- ③第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者。専業主婦・主夫など。
そう、図から分かるとおり、厚生年金の人も国民年金に加入しているんです。
「お給料からは厚生年金保険料しか天引きされてないけど?」
実は厚生年金に保険料を払ったら、厚生年金から国民年金へ
お金が拠出されているんです。なので厚生年金のひとも
間接的に国民年金保険料を払っているということになります。
国民年金は定額の制度です。
保険料も全員一緒(平成24年度は14,980円/月)だし、
そのぶん将来もらえる年金も、未納滞納してなければみんなおんなじ。
いくら自営業で稼いでいても、です。
で、厚生年金・共済年金の部分がななめってると思いますが、
ここではじめて差が出ます。稼いだ金額に比例するんです。
高いお給料の人ほど高い保険料を払い、それなりに高い年金をもらえます。
まあそれほどの給料じゃなくても、国民年金だけの人(第1号・第3号)
よりはもらえるということになりますね。
余談になりますが、
先日参加した女子会で「結婚相手に求める条件とは?」みたいな話になったとき、
職場の先輩が力強く「2号!2号!」と主張していたのがとても印象的でした。
あとは「3号になりたい!!!」という切実な叫びもありましたね。
第3号被保険者は、保険料を納めなくても年金がもらえるからです。
なんともうらやましい話です。
厚生年金保険料の計算方法
とまあ年金の概要をふんわり説明したところで、
実際にお給料から天引きされる厚生年金保険料を計算してみましょうか。
でも実は、健康保険料の計算方法と同じなんです。
標準報酬月額 ✕ 保険料率 ÷ 2
標準報酬月額
まず下の表から、自分の標準報酬月額をみつけましょう。
※一番左の等級ですが、カッコがついてるほうが厚生年金の等級になります。
※元のリンクはこちら。
例えばお給料25万円の人は、16等級・標準報酬月額26万円となります。
どういうものがお給料の対象になるかはこちらを参考に。
ほんと、健康保険と一緒です。標準報酬月額が決まるタイミングもおなじ。
- 入社したとき
- 定時決定(年に一度の見直し。4〜6月のお給料で決定される)
- 随時改定(大幅にお給料が変動したら改定)
- 育児休業等終了時改定
保険料率
健康保険の場合は、加入する健康保険によって料率がちがいましたが、
厚生年金の場合はみんなでひとつの大きな制度に加入するわけですから、
みんなおんなじ16.412%です(平成24年4月現在)。
そして平成29年まで、毎年9月に0.354%ずつあがっていくことになってます。
ほんとに29年でストップすればいいですけど。。
で、最後にきちんと÷2してくださいね。
会社が半分負担してくれるので。これこそ第2号被保険者の強みです。
だって本人は2万円しか払ってなくても、会社がもう2万出してくれるおかげで
4万払ったことになり、それが将来の年金額に反映されるわけですから。
将来いくらもらえるの?
そんな年金、一体いくらもらえるのさ、と説明しはじめると
とても1回では収まりそうにありませんから、こちらはうーんそうですね。。
給与計算教室が終わったら年金教室でも開きますかね。。
というかまあ、正直私がまだ勉強できていないっていうのもあります。あはは
簡単にいうと、
国民年金の部分に限ると、20歳から60歳になるまで40年間納め続けた場合、
年金額は780,900円(23年度時点)です。これが毎年毎年死ぬまでもらえます。
だいたい75まで生きればトントンってところでしょうか。。
第2号被保険者である厚生年金・共済年金に入っている人は、その上に
払った保険料に応じて加算されていきますね(ただし上限アリ)。
毎年誕生月にねんきん定期便が届くと思うので、
それを一度確認してみるといいと思います(!!)。
まとめ
ちょっと年金は制度が複雑で、生まれた年によってもいろいろ違ってくるので
一概には言えないのですが、まずは毎月天引きされる保険料の額を
把握しましょう。なんといっても健康保険料の決まり方と同じですから、
わからなくなったら健康保険の復習をおすすめします。
そしていつか年金教室を開けるよう私も学習に励みたいと思います。
今後の予定(毎月25日前後更新)
- 1月:給与計算教室をひらきます ~自分のお給料を把握できるようになろう~
- 2月:第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう~
- 3月:第3回給与計算教室 〜春の残業は健康保険料UPのもと〜
- 4月臨時:給与計算教室臨時号 ~新卒のみなさんへ・気になる初任給はいくら?~
- 4月:第4回給与計算教室 ~年金のこと、知っておこう~
- 5月:雇用・労災保険料
- 6月上旬:ボーナスについて
- 6月:住民税
- 7月:所得税
- 8月:〜夏休み〜
- 9月:出産育児関係
- 10月:考え中
- 11月上旬:年末調整書類の書き方
- 12月:源泉徴収票のよみかた
給与計算教室臨時号 ~新卒のみなさんへ・気になる初任給の手取りはいくら?~
ご入社おめでとうございます。
新しい環境、新しい仲間、最初は慣れるのに大変かもしれませんが、
まだ学生気分が抜け切らないまま2年目になってしまった
私のような社会人もいるので、どうぞ安心してがんばってください。
そしてそして、なんといっても社会人はお給料がもらえます。
初任給で何を買うか考えている人も多いかもしれませんね。
しかし社会人のお給料はたくさん天引きされるっていうし、
一体自分の手元に残るお金はいくらなんでしょうか。
まず自分のお給料への意識をたかめよう
意識の高い新卒、意識の低い新卒、いろいろいると思いますが、
どちらにせよお給料への意識は高く持っておくことをおすすめします。
第1回給与計算教室でも述べていますが、
- 会社が計算してくれてるからといって、100%正しいとは限らない
(給与計算には間違いやすいポイントがたくさんあります) - 毎月たくさん天引きされるけど、どういう計算方法で
なんのために払っているのか少しでも知っておくと納得感が違う
などと思ったりするからです。
自分のお給料を守れるのは自分しかいませんしね。
っていうか初任給っていつ?
私は一年前、
「てっきり初任給は4月に出るものだと思ってたけど、よく考えたら
学生のときバイト代は翌月振込だた。。もしかして初任給って5月!?」
「もし4月にもらえるとしても、日割で少ないのでは?やばい生活費足りない。。」
と入社前にあたふたした記憶があります。
一応答えは、「4月にほぼ満額出る会社が多いとは思うけど、
会社の『締め日』によって違ってくるよ」、です。
自分の会社の締め日を知っておこう
労働契約書、または賃金規程などに書いてあると思うので、探してみましょう。
①当月末締め、当月○日払い
これが一番多いパターンかと思います(あくまで私のまわりですが。。)。
今月だと4月30日で締めて、例えば4月25日に支払われます。
え、30日に締めるのにその前の25日に支払いとかおかしくない?
そう思いますよね。でもいいんですもらっとけば。
変な感じがするかもしれませんが、それが月給制というものなのです。
じゃあ30日に締めるってのはどういうことかというと、
4月1日~4月30日分の勤怠情報(何時間残業したか・何日休んだか等)
を報告してくださいということです。会社はその報告分を計算し、
翌月5月25日に支払いますよ、という意味になります。
したがって
- 4月給与では4月の固定給(基本給や各種手当など、額が毎月変動しない給与)
- 5月給与では5月の固定給+4月分の残業代や欠勤控除など
- 6月給与では6月の固定給+5月分の残業代や欠勤控除など
・・・ってな感じで、固定給と残業代等の支給のタイミングが1ヶ月ずれます。
とりあえず最初は固定給まるまる出して、
もしプラスマイナスが発生すれば来月の給与でなんとかするっていう流れですね。
なのでこのパターンの会社の人は、初任給は日割されることなく
固定給が満額支給されるはずです(保険料などの天引き前の話)。わーい
②月中締め、当月○日払い
例えば4月15日締め、4月25日払いなどです。
この場合だとたぶん、固定給は4月1日~4月15日分しかでないと思います。
そして①のパターンとは違って、締め→支払というまっとうな順番なので、
固定給と残業代などは同じタイミングで支払われます。
※4/19 追記※
日割りせず、固定給を4月25日にまるっと出してあげるパターンもあります。
または3月16日〜4月15日の勤怠分だけ来月5月25日に支給、というパターンも。
4月25日までにはちょっと残業代計算が間に合わない場合ですね(大企業など)。
少しややこしいですが、、
③当月末締め、翌月○日払い
4月30日締め、5月10日払いなどです。
この場合は残念ながら、5月10日まで初任給はお預けです。
これもパターン②と同じように、固定給と残業代などが同時に支払われます。
お給料から天引きされるもの
締め日が分かったところで、
次はお給料からなにが天引きされるのかを知っておきましょう。
| 名称 | 区分 | 天引き開始月 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 社会保険 | 5月給与 |
| 厚生年金保険料 | 社会保険 | 5月給与 |
| 雇用保険料 | 労働保険 | 4月給与 |
| 所得税 | 税金 | 4月給与 |
| 住民税 | 税金 | 2年目の6月給与 |
※上記はあくまで法律で決められている最低限のものです。
会社によってはこのほかに団体保険料、組合費などが天引きされる場合があります。
たくさんありますよね~~
でも4月の初任給から天引きされるのは、雇用保険料と所得税だけです。
じゃあそれが一体いくらなのか計算してみましょう。
計算してみよう
当月末締め、当月25日払いとします。
- 名前:はてな太郎
- 基本給:20万
- 住宅手当:1万
- 通勤手当:1万
- 扶養家族:0人
①雇用保険料
これをちゃんと払うことで、失業した時や育児休業中にお金がもらえます。
求め方は結構簡単で、総支給額 ✕ 5/1000です(※農林水産・清酒製造・建設事業は6/1000)。
ポイントは通勤費も対象となるところですかね。
以下、総支給額の対象になるかならないかの表です。
| 対象となるもの | 対象とならないもの |
|---|---|
| 基本給・残業手当・深夜手当・休日手当・通勤手当・定期券・家族手当・教育手当・日直手当・役職手当・地域手当・住宅手当・単身赴任手当・技能手当・奨励手当・調整手当 …etc | 結婚祝い金・死亡弔慰金・災害見舞い金・出張旅費・宿泊費(実費弁償的なもの)・会社が全額負担する生命保険の掛け金 …etc |
よってはてな太郎の雇用保険料は
(基本給20万 + 住宅手当1万 + 通勤手当1万)✕ 5/1000 = 1,100円となります。
②所得税
1〜12月で稼いだ金額に応じて、我々は所得税という税金を納めなければいけません。
でも12月にいきなり「あなた今年はこれだけ稼いだから、所得税◯◯円ね!」
と言われてもけっこうな額ですし、すぐには払えませんよね。
そうなるのを防ぐために、だいたいこんくらいだろうなーっていう所得税額が
ちょっとずつ毎月のお給料から天引きされることになっています。
(あくまで概算なので、12月に正しい所得税額を計算しなおして差額を精算します。
それを年末調整といいます。)
詳しくは7月の給与計算教室でやろうと思うのでざっくりな説明になりますが、
こちらの税額表を使って求めます。はてな太郎の場合、
まず通勤手当以外の総支給額から、雇用保険料を引きます。
(基本給20万 + 住宅手当1万− 雇用保険料1,100円 = 208,900円)
208,900円を左の列から探し、甲・扶養親族等の数に該当するところ…
そう、4,950円が、はてな太郎の今月の所得税ということになります。
うーんまあ雇用保険料と比べたら高いですが、来月から天引きが始まる
健康保険料や厚生年金保険料に比べたらなんてことはない額ですね。。
というわけで
(基本給20万+住宅手当1万+通勤手当1万)-(雇用保険料1,100+所得税4,950)
はてな太郎の初任給の手取りは213,950円となります。
想像していた金額よりどうでしたか?
まあ来月からは20万切るかと思うので覚悟しておいたほうがいいかもしれません。
残業でたくさん稼ぐしかないですね。
さいごに宣伝
このブログでは、毎月25日前後に給与計算についての記事を書いています。
残業代の計算や、来月から控除される健康保険料の計算については
すでに公開済みですので読んでみてください。
そして是非、次回以降もこのブログで一緒に勉強していきましょう。
では明日からもかいしゃがんばってください。さようなら~
今後の予定(毎月25日前後更新)
- 1月:給与計算教室をひらきます ~自分のお給料を把握できるようになろう~
- 2月:第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう~
- 3月:第3回給与計算教室 〜春の残業は健康保険料UPのもと〜
- 4月臨時:給与計算教室臨時号 ~新卒のみなさんへ・気になる初任給はいくら?~
- 4月:厚生年金保険料
- 5月:雇用・労災保険料
- 6月上旬:ボーナスについて
- 6月:住民税
- 7月:所得税
- 8月:〜夏休み〜
- 9月:出産育児関係
- 10月:考え中
- 11月上旬:年末調整書類の書き方
- 12月:源泉徴収票のよみかた
第3回給与計算教室 〜春の残業は健康保険料UPのもと〜
こんにちは。
だいぶ寒さもやわらいで、春の訪れを感じますね。
今月からいよいよ給与計算3つの柱(勤怠、社会保険、税金)
の2番目、社会保険の計算に入ります。
初回でも述べましたが、社会保険には5つの種類がありました。
| 保険のなまえ | 分類 | 備考 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 社会保険 | 75歳からは後期高齢者医療制度へ |
| 介護保険 | 社会保険 | 40歳から加入 |
| 厚生年金保険 | 社会保険 | 70歳まで |
| 雇用保険 | 労働保険 | 65歳になる年から不要 |
| 労災保険 | 労働保険 | 保険料は会社負担 |
今日はまず一番上、健康保険料(+介護保険料)についてみていきましょう。
1.そもそも健康保険ってなに?
日本国民である限り、健康保険には強制的に加入しなければなりません。
みんなが健康保険に入って保険料を払い、お金がたくさん集まるおかげで、
- 病院に行ったら3割の負担ですんだり(療養の給付)
- 出産費用として42万円もらえたり(出産育児一時金)
- 産休中(not育休中)、お給料の3分の2がもらえたり(出産手当金)
- ケガや病気で休業してもお給料の3分の2がもらえたり(傷病手当金)
- 本人や家族が無くなったら5万円もらえたり(埋葬料)
など、いろいろな健康面でのサポートが受けられるのです。
ここで正しく認識しておきたいのは、民間の保険会社の保険とは別物だということ。
あれは社会保険の健康保険だけでは心配だわ。。という人が加入するものであり、
入るかどうかはまったくの個人の自由です。
入院時や手術の保障、死亡保障など、サービス内容も
本来の健康保険を補佐する形で、各社多岐に渡っていますね。
2.健康保険の種類
ひとくちに健康保険といっても実は何種類かありまして、
どういう会社・団体に所属するかによって加入する健康保険が違ってきます。

健康保険組合
ここにあてはまるひとが一番多い感じでしょうか。
丸がたくさんありますが、だいたい1500ぐらいあるらしいですね。
大企業なんかが企業独自で組合を作って運営していたり(単一組合)、
同じ業界の会社が集まって一緒に運営してしたりしています(総合組合)。
自分がどういう組合に入っているのか、
一度ホームページを見ておくのもいいかもしれません。
ちなみにIT・WEB界隈で有名な健康保険組合といえば
みなさんご存知(?)、関東ITソフトウェア健康保険組合(略してITS)ですね。
検索の会社や携帯の会社、ソーシャルゲームの会社や料理の会社など、
今をときめく会社が加入しているキラキラ健保組合です。
わりとお金があるらしく(とはいえ最近は厳しいようですが)保険料が安いですし、
組合員専用レストランや保養所も充実しており、満足度が高い組合となっています。
私の勤務先はキラキラはしていませんが、一応ITに関係する会社ということで
ここに加入できており、この一年でいろいろな恩恵を受けることができました。
転職するなら次もITSに加入している会社を選びたいくらいです。
協会けんぽ
正式名称は「全国健康保険協会」。
健康保険組合に加入出来なかった会社が入る保険です。
会社が健康保険組合に加入するためには
実は組合によってなにかと条件(設立年数や平均年齢、経営状況など)があり、
特にできたてほやほやの会社などは入るのが難しいですから
まずは協会けんぽに加入することになります。
また最近はどの組合もお金がなく、運営がまわらなくなり解散、、というケースも。
そんな会社のためにこの協会けんぽが受け皿となっているという仕組みです。
共済組合
公務員の方が加入する組合です。あまり詳しくないのでここでは説明を省きます。。
国民健康保険
会社を退職する=健康保険からも脱退するということです。
希望すれば2年間、任意継続という形で続けることもできますが、
そうでない場合は個人で国民健康保険に加入することになります。
市町村が運営しているので地域保険ともいいますね。
退職したら自分で市役所などに行って手続きをします。
しかしこの国民健康保険、定年退職後の高齢の方や滞納者が多数おり
運営に必要なお金があまり集まらない=そのぶん保険料が高い。
そんな国保に入るのはなあ…と躊躇しているフリーランスのために、
国民健康保険組合というのがあります。
ちょうど週末、こちらの記事で話題になっていましたね。
国民健康保険という枠組みの中で、同じクラスタの人を集めた組合が存在するんです。
もう新たに設立することはできないようですが、現在これだけの組合があるようです。
東京芸能人国民健康保険組合とか京都花街国民健康保険組合とかおもしろいですね。
3.健康保険料の決まり方
さて、だいぶ前置きが長くなってしまいました。
いよいよ肝心の健康保険料についてです。ここは給与計算教室ということで、
会社勤めの方向け…健康保険組合・協会けんぽでの保険料の決まり方を説明します。
まず、これが健康保険料の求め方の式です。パッとみ、いたってシンプルです。
標準報酬月額 ✕ 保険料率 ÷ 2
標準報酬月額とは?
千差万別のお給料の額を、47つの等級で区切られたのが標準報酬月額です。
数字が見にくいですねすいません…元のリンクはこちら。
例えばお給料25万円の人は、20等級・標準報酬月額26万円となります。
どういうものがお給料の対象になるかはこちらを参考に。
ポイントは通勤費も含めるということです。
(3ヶ月や6ヶ月定期など、まとめてぽんと支給されてるなら
3や6で割って1か月分を算出して計上します)
えっ、じゃあ通勤費高い人ほど保険料も上がるってこと?はい、そうなんです。
前回の残業代計算では通勤費は対象外でしたが、今回は残念ながら対象となります。
会社が従業員の通勤費の支給をしなければならないという法律はないため、
あくまで好意で出してくれているという考えのもと、お給料とみなされるようです。
で、この標準報酬月額ですが、毎月変わるわけではありません。
以下4つのタイミングごとに決まり、次のタイミングが来るまで変わらないのです。
毎月毎月決め直してたら、計算・管理する方も面倒ですからね。
1.入社したとき
入社したら、健康保険に加入するための届出を5日以内に提出します(会社が)。
その際に標準報酬月額を記入する欄があるのですが、
まだその頃はお給料を支給していないし残業代も確定してないですよね。
なのでこの時は、同じ部署の人のお給料や過去の例などを参考に、
おおよそのお給料を算出して標準報酬月額を決めます。
2.定時決定
これが一番メインのタイミングになるかと。
年に一度、4・5・6月のお給料の平均で標準報酬月額を決め直します。
例えばお給料が4月31万、5月35万、6月33万だと平均は33万円。
上の表を使って標準報酬月額は、23等級の32万円となります。
なのでタイトルにもあるとおり、3・4・5月の残業をなるべく控え、
4・5・6月のお給料をいかに低くおさえるか、というのがポイント。
といってもこの時期は年度末で忙しいですよね…なんとも憎いタイミングです。
(年度末とか関係なく、職業柄この時期どうしても忙しいって人は
申請すれば特別に1年間のお給料の平均で標準報酬月額を決めてくれる
っていう法律も最近できました。ただし条件付き。)
で、いつからこの新しい標準報酬月額が反映されるかというと、9月分から。
ってことはつまり、この後説明しますが10月給与から天引き開始です。
忘れた頃にやってくるって感じですね。
3.随時決定
定時決定で標準報酬月額が決まったら、基本、来年の定時決定までそのままです。
でもさすがに、1年のあいだに昇給とか降給とか、あと引越しで通勤費変わったり
いろいろあってお給料が大幅に変動することもあると思います。
そういうときは特別に標準報酬月額を決め直します。例えば…
- 9月に昇給 or 降給 or 通勤費などなどが変更
- 9・10・11月のお給料の平均を算出、標準報酬月額を求める
- 現在の標準報酬月額と、2で求めた標準報酬月額に、2等級以上の差があれば改定
- 12月分の保険料から新しい標準報酬月額に変更(つまり1月給与から天引き)
このような流れです。ポイントは
- 2等級以上の差がないと随時改定の対象にはならない
- 変動的賃金のみの変動だと随時改定の対象にはならない
ってことです。
基本給や通勤費、各種手当など金額が一定して変わらないものを固定的賃金、
残業代や突発的な手当など、毎月変動するものを変動的賃金というのですが、
固定的賃金が変動してはじめて随時改定の対象となります。
なので残業代だけでお給料UPしても、保険料にはなんら影響ありません。
思う存分残業すればよいと思います!
4.育児休業等終了時改定
9月の給与計算教室(テーマ:出産育児)で解説します。
保険料率ってどのくらい?
標準報酬月額が分かればあとはもう簡単です。保険料率をかけるだけです。
保険料率は組合によって違うので、これはもう各自ぐぐってください(!!!)
協会けんぽの人も、都道府県によって料率が違います↓
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,0,131,712.html
(自分の住所でなく、勤務先の住所の都道府県でみてください)
よく3月と9月に変わるみたいです。ぜひ自分の組合のHPをチェック!
もちろん今回は据え置きの組合もありますが、
これからどこの組合もどんどん上がってくでしょうね…
そして最後に2で割って完了です。普段はあまり意識されていないことですが、
社会保険料は会社が半分負担してくれています。会社勤めの特権でしょうね。
4.保険料控除のタイミング
保険料が天引きされるタイミングを知っておくのも大事です。表にしてみました。
| 入社・退職日 | 保険に加入するのは | 保険料控除 |
|---|---|---|
| 3/1〜31入社 | 3月から | 4月給与から控除 |
| 3/1〜30退職 | 2月まで | 2月分の保険料を3月給与から控除 |
| 3/31退職 | 3月まで | 2月・3月分の保険料を3月給与から控除 |
ポイントは、健康保険料というのは
- 今月分は翌月の給料から控除
- 日割りという考え方はなく、末日まで在籍するとその月の保険料がまるっと発生
ってことです。
「じゃあ3/30とかに退職したほうが得じゃね?」って思ったあなた、残念でした。
得なのは会社だけです。3/30に退職すると3月は保険に加入していないことに。
最初に述べた通り、国民は必ずなんらかの形で健康保険に加入してないとなので
3月分は自分で国保に入るか、全額自己負担の任意継続を選ぶか、
すぐ3/31に次の会社に入社して保険に入る必要があります。
5.扶養のはなし
こどもや専業主婦など、
自分のちからで保険に入り保険料を払うことができない人は、
誰かの扶養に入ることで健康保険の恩恵をうけることができます。
(別に扶養家族が多いからといってパパさんの保険料は変わりません。
あ、国民健康保険のほうは扶養家族多いと保険料もあがります。)
扶養にはいれる目安は、収入130万未満(※103万は所得税のほうの壁です)。
月10万8千円以上稼いでるとアウトですね。学生アルバイトの方は気をつけて!
130万超えるか超えないかぎりぎり…という場合は
組合によって甘かったり厳しかったりで、そのへんはもうケースバイケースです。
介護保険料
40歳になったその月から(1日生まれの人はその前月から)、
健康保険料にくっついて介護保険料も発生するのをお忘れなく。
求め方は、さっきの保険料率に介護保険料のぶんがプラスされるだけです。
介護保険料率も組合によって違うので40歳以上の方は要チェックです。
あっもちろん介護保険料も会社が半分負担してくれますよ。
余談ですが、これを職業病というのかどうか分かりませんが、
40歳になりました、っていうのを聞くと「今月から介護保険料発生か…」
などと考えてしまいますし、あと職場でも時折
「いや〜もう今年ぼく40ですよ〜」「じゃ今年から介護保険料ですねあはは〜」
みたいな会話が繰り広げられており、まあなんともいえない気持ちになりますね…
こんなところでしょうか…ちょっとボリューミィな回となってしまいましたね。
まあとりあえず、まずは自分がどういう保険に入っているのかを知ること。
そして給与明細を見て、先月と比べて健康保険料はどうなっているか。
変わっていたらそれはなぜなのか少し考えてみると面白いと思います。
(保険料率が変わったのか、それとも自分の標準報酬月額が変わったのか、
はたまた両方とも変わったのか、、など。)
どんどん高くなっていく保険料ですが、
今日の内容を知っておくだけでもだいぶ納得感が違いますよ。
それではまた来月、おつかれさまでした。
今後の予定(毎月25日前後更新)
- 1月:給与計算教室をひらきます ~自分のお給料を把握できるようになろう~
- 2月:第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう~
- 3月:第3回給与計算教室 〜春の残業は健康保険料UPのもと〜
- 4月上旬:新卒の初任給
- 4月:厚生年金保険料
- 5月:雇用・労災保険料
- 6月上旬:ボーナス
- 6月:住民税
- 7月:所得税
- 8月:〜夏休み〜
- 9月:出産育児関係
- 10月:考え中
- 11月上旬:年末調整書類の書き方
- 12月:源泉徴収票のよみかた
第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう~
こんにちは。
先月から始まりました給与計算教室、
今月は残業代の計算方法について学びます。
暗黙的ななにかによってうちは残業代がでないんだ。。という方もいるかもですが、
いつの日か残業代が出ることを信じ、ぜひ前向きな気持ちで取り組んでみましょう!
はじめに
先月の教室で、給与計算には主に3つの柱があることを述べました。
1.勤怠
2.社会保険料
3.税金
1番目の勤怠の作業では、その人が何時間働いたかを正確に把握し、
それをもとに残業代の算出や、働いていない時間分を控除したりします。
この勤怠による金額が決まってこないと、あとの社会保険料や税金の計算もできない、、
というのは前回お話したと思いますが、そのくらい給与計算の要となる処理です。
今回はこの勤怠処理の中でも、特にみなさんの大切な残業代が
どのように計算されているのかをみていきます。
計算のしかた
ではさっそくですが、これが計算式ですじゃ~ん ↓ ↓

↑ 式を構成する項目①~④を、ひとつずつみていきます。
①1ヶ月の給与とは
原則、支払われるお給料すべてのことです。
しかし、以下の7つは除外してもいいことになっています。
1.家族手当 2.別居手当 3.通勤手当 4.子女教育手当 5.住宅手当 6.臨時に支払われる手当(結婚手当、出産手当など) 7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(ボーナス、勤続手当、精勤手当、奨励加給など)
特に1~6に注目して欲しいのですが、こういう手当って
働いた時間に対する対価ではなく、
人それぞれの事情・環境によって支給されるものですよね。
こういうものまで計算の対象に含めてしまうと、
家族が多い人や、定期代の高い人ほど単価が高くなり不公平です。
よって上記の手当等は、残業代の計算からははずされます。
なので逆に、「通勤手当は全員に一律○○円」、などと
みんな平等にもらえる手当は対象となります。
手当の名前で判断するのではなく、中身・性質で決まるわけです。
「うちの会社はなにが対象・対象外なんだろ。。」という方は、
会社の賃金規程などにいろいろ書いてあると思うので、一度確認してみましょう。
②1ヶ月の平均所定労働時間
①で求めた金額を、ついその月の労働時間で割ってしまいそうですが、
それだと毎月違ってきてしまうので、以下の式で1年間統一されています。

※小数点のどこかで切捨て(会社によりけり)
※切り上げはNG。分母になるので、大きいと労働者にとって不利に。
1年間の労働日数に1日の所定労働時間(会社で決められた労働時間)をかけると、
年間で何時間働くことになるのか分かりますよね。
それを12で割ると、1ヶ月あたりの平均労働時間が出るという計算式です。
したがって、①1ヶ月の給与を、②1ヶ月の平均所定労働時間で割る
(円未満四捨五入 or 端数をつけたまま次の計算へ)ことにより、
まずは自分の1時間あたりのお給料が求められます。ようは時給ですよ時給。
はたして自分は1時間で、この時給に相応する仕事をしているのか?
と自分の仕事を見つめ直すいいきっかけになるかもしれませんね。。
③割増率ってどのくらい?
さて、時給が算出できました。
次はそれに対して、各種割増率をかけてやります。
※以下の割増率は、あくまで法律で決められている最低ラインです。
たいていこの数字通りかと思いますが、ふとっぱらな会社だともっと高い割増率の場合もあります。
| パターン | 割増率 |
|---|---|
| 法定労働時間内(8時間以内) | 時給そのまま |
| 法定労働時間超(8時間超or週40h超) | 25% |
| 法定休日労働 | 35% |
| 深夜労働(22~翌5時) | 25% |
| 深夜労働かつ法定労働時間超 | 50%(深夜25% + 超25%) |
| 休日労働かつ深夜労働 | 60%(休日35% + 深夜25%) |
| 60時間を超える残業時間 | 50% |
*ポイント*
- そう、8時間以内であれば、割増にする必要がないんです。例えば9~17時(休憩1h)の会社だと、17~18時の間の残業代は時給そのまんまでOK。でもそれ計算もめんどうになるし、そのくらいケチケチせず、8時間を超えない残業でも25%割増してくれるのがまあ一般的かと思います。たぶん。最低ラインを上回るぶんにはまったく問題ないですからね。
- 実は休日にも種類があり、35%割増するのは法定休日だけでいいんです。
| 法定休日 (たいてい日曜日かと) |
35% |
| 法定外休日 (土曜・祝日・年末年始など) |
労働時間が週40時間超えてたら25% まだ週40時間以内だったら時給そのまま |
ただこれも、法定外休日でもうちは35%出すよ、という会社がほとんど…と思いたいですが、さっきの8時間以内の残業と違って、この違いはわりと大きいですよねえ。もしかしたら、35%じゃない会社も結構あるかもしれません。
- 休日出勤で8時間を超えて働いても、深夜の時間帯を除いて35%のままです(35+25=60%にはならない)。
- 休日と平日を振り替えて休日出勤した場合、それは平日とみなされるので、時給そのままか、その週の労働時間が40時間超えていれば25%の割増となります。
- 深夜(22~翌5時)に働くと、たとえ1時間しか出社していなくても無条件で25%の割増です。コンビニの時給なんかもそうですよね。これは深夜手当というのが、働く時間の「長さ」に対しての手当ではなく、深夜に働くという「質」に対しての手当だからです。イメージ分かりますかね。。
- 最近の法改正により、1ヶ月でどうしても残業時間が60時間を超えてしまったら、その超えた分に関しては50%の割増率となりました(中小企業には当面のあいだ猶予されています)。ほんとは残業って原則、労使協定結んでても月45時間超えちゃだめなんですけど、まあ正直難しい会社も多いのが実情なので、こういう法律ができたようです。
④残業時間
基本的には、たとえ1分の残業でも残業代は出ます。
しかし1ヶ月の残業時間を合計したとき、分単位の端数が出たら、
30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げてもよいことになっています。
※ここで大事なのは、一日ごとに切捨てるのは法律違反だってことです。
あくまで端数処理してもよいのは1ヶ月トータルの時間なので、
一度自分の残業時間が日毎に切捨てされていないか確認してみましょう。
(日毎の切り上げは違反になりません。労働者にとって不利にならないので。)
でも最近は計算ソフトがあるし、分まで計算してくれる会社がほとんどかと。
その場合、分は10進法になおして計算されます。60で割ると算出できます。
例)20時間30分→20.5
30時間45分→30.75
仕上げ
①~④をはじめの計算式にあてはめ計算し、円未満を四捨五入すれば完成です。

※最後の端数処理も会社によってまちまちで(切り捨てはNG)、
1円単位や、なかには10円単位で切り上げてくれる優しい会社なんかもあります。
いや~結構長くなりましたね。。おつかれさまでした。。
余力があれば
…などの場合、残業代って出るの?出ないの?という話もしたかったですが
これまた話が長くなるのでまた機会があればやります。
しかし基本的に、法定労働時間や、みなしの残業時間を超えたら
残業代もらえる、と思ってもらえばいいかと。
あと支給の話だけでなく、欠勤控除などマイナスの方法もやりたかったんですけど
これもまたまた機会があればデスネ。。
ということで、残業代の話は以上となります。いかがでしたでしょうか。
まあ実際は計算ソフトを使うので、もっとちゃちゃっと求められるんですけどね。
でもそこはぜひ、自分でおおかた計算できるようになって、
収入の目処を立てるのに役立てていただければと思います。
さて次回は健康保険についてです。
みなさん身近な健康保険ですが、一体どうやって保険料が決まってるんでしょうか。
なんとなくその月のお給料に、保険料率をかける。。と想像しがちですが、
単純にそうではないみたいです。それではまた来月~~
今後の予定(毎月25日前後更新)
- 1月:給与計算教室をひらきます ~自分のお給料を把握できるようになろう~
- 2月:第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう~
- 3月:健康保険料(+介護保険料)
- 4月上旬:新卒の初任給
- 4月:厚生年金保険料
- 5月:雇用・労災保険料
- 6月上旬:ボーナス
- 6月:住民税
- 7月:所得税
- 8月:夏休み(予定)
- 9月:出産育児関係
- 10月:考え中
- 11月上旬:年末調整書類の書き方
- 12月:源泉徴収票のよみかた
給与計算教室をひらきます~自分のお給料を把握できるようになろう~
遅ればせながらあけましておめでとうございます。
2012年はあーりん推しでいこう、と決意するとともに、
このブログでは毎月、給与計算について書いてくことにしました。
はじめに
半年ぐらい給与計算に携わって思うようになったのは
- 会社がやっているからといって、その数字が100%正しいとは限らない
- 毎月たくさん天引きされるけど、どういう計算方法で、
なんのために払ってるのか少しでも知っておくと納得感が違う
ってことです。
給与計算って、計算自体はソフトがあればクリックひとつで完了するしかんたんです。
でもそのクリックにたどり着くまでが面倒で、人の頭で判断するポイントも多く、
正直ミスも発生しやすい。。
もちろんそれはあってはならないことなので、
企業の給与担当者は何回も何回もチェックし、毎月慎重に行っていることと思います。
しかし、最後の最後で自分のお給料を守れるのは自分。
お給料をもらう側も、少しばかりの心構えを持っておくにこしたことはないでしょう。
また、毎月天引きされている保険料や税金のことも、
どうせ取られるなら内容をちょっとでも分かっておいたほうがすっきりすると思います。
というわけで、自分も勉強しながらこの1年書いてみます。
今回はその手始めとして、給与計算の全体像を少し。
給与計算って、ようはなんなの?
毎月毎月、同じ額のお給料を払うだけなら、給与計算なんて必要ありません。
例えば基本給30万円であれば、その人の口座に毎月30万円振り込まれるよう
セットすればいい話ですから。
しかし、そういうわけにもいかないのが現実。
基本給をベースに、おもに以下3つの要素がからんできます。
1. 勤怠
2. 社会保険料
3. 税金
=1. 勤怠=
勤怠情報がないと給与計算をはじめることはできません。
なぜならもちろん、
- 残業時間
- 深夜残業時間
- 休日出勤時間
- 欠務時間
- 欠勤日数
などがある場合、その時間分を計算して支給、または減額するためです。
最初にこの金額が固まらないと、
このあとの社会保険料や所得税の計算もできないので、
ここで足踏み状態になるのが一番もやもやするです。
なのでまずみなさんには、
日々正しくタイムカードを打つことが求められています。
そして上司の方もそれをこまめに確認・承認し、
「この勤怠で間違いありません」という報告をなるはやであげることが大切です。
迅速な勤怠の締まりは給与担当者にとって非常に喜ばしいことであり、
とても感謝されるでしょう。
逆の場合は言うまでもありませんね。。
=2. 社会保険料=
社会保険は5種類。会社勤めのひとは強制的にこれらの保険に加入し、
毎月保険料をお給料から徴収されていきます。ひ~
| 保険のなまえ | 分類 | 備考(詳しくは次回以降) |
|---|---|---|
| 健康保険 | 社会保険 | 75歳からは後期高齢者医療制度へ |
| 介護保険 | 社会保険 | 40歳から加入 |
| 厚生年金保険 | 社会保険 | 70歳まで |
| 雇用保険 | 労働保険 | 64歳から不要 |
| 労災保険 | 労働保険 | 保険料は会社負担 |
※健康・介護・厚生年金保険のことを社会保険と呼び、雇用・労災保険は労働保険と呼ぶ分け方もあります。
金額順に並べると、おおよそ厚年>健保>雇用>介護>労災(0円)、
という感じでしょうか。
それぞれ金額の決まり方が違うので、それはまた次回以降説明していきます。
=3. 税金=
お給料から徴収される税金とは、以下の2つです。
- 所得税
- 住民税
所得税は、その名の通り、その人の所得にかかる税金のことです。
毎月徴収されているのは仮の税額であり、
これは毎年12月に清算されます(=年末調整 )。
どうやって仮の税額を決めているのかはまた後日説明しますが、
ざっくりいうと、その月の総支給額から、
通勤費と社会保険料を引いた額をもとに算出されています。
住民税は、去年の所得に応じて、翌年の額が決まります。
例えば2011年1月1日~12月31日のあいだに稼いだ金額によって住民税が決定し、
それを12で割った金額が、2012年(6月給与)より引き落とされるという流れです。
なのでその月のお給料の額には関係していません。
あくまで去年の所得をもとに割り出された数字なのです。
新卒のひとはそろそろ心の準備をしておいたほうがいいかもしれませんね。。
以上、3つの要素をあげてみました。
これらが分かると、自分でもお給料を概算できるようになるかな、と思います。
来月からひとつずつみていくので、一緒にがんばりましょう!!!
年末調整を自分でやってみよう
こんにちは、年末調整の季節です。
今年の1月から12月まで毎月徴収されてきた、所得税の清算がおこなわれます。
人それぞれ、お金が戻ってきたり追納があったりさまざまですが
我々社会人1年目にとっては初めての年末調整ですから、少しどきどきですね。
12月の給与支給日を迎える前に、ざっくり自分で計算して心の準備をしておきましょう。
設定
- 名前:はてな太郎(今年4月から社会人)
- 月給20万
- 通勤費1万/月
- ボーナス6月:5万、12月:40万
- 独身、扶養などはゼロ、障害者非該当
- 生命保険や地震保険など、民間の保険未加入
- 会社の団体保険も未加入
- もちろんローンなし
- 1~3月の学生時代、アルバイト収入10万有り(源泉徴収票を今の会社に提出済み)
超おおまかな流れ
(今年一年間のお給料総額-いろいろな控除)× 税率 = 所得税 所得税-毎月源泉徴収されてきた所得税総額=過不足税額
所得税は、お給料総額にそのまま税率5%とか10%かけるんじゃなく、
実際には様々なおまけ(控除)があり、それを引いてから税率をかけて求めます。
で、その額を年末にどばっと支払うのかというとそうではなくて、
みなさん毎月のお給料・ボーナスから所得税あらかじめとられてますよね。
あれは「だいたいこのくらいだろうな」っていう概算によって算出された金額なので、
本当の税額とは差異がでてきます。それを清算するのが年末調整であり、
今まで多く支払いすぎていたら返ってくるし、少なければ追納しなくてはいけません。
もう少し詳しい流れ
1.①年間総支給額-②給与所得控除=給与所得 2.給与所得-③社会保険料控除-④扶養・基礎控除などの控除=課税給与所得金額 3.課税給与所得金額×⑤税率=算出年税額(その人の本当の所得税) 4.算出年税額-毎月の所得税総額=プラスなら追納、マイナスなら還付
1.①年間総支給額-②給与所得控除=給与所得
①年間総支給額
大学4年1~3月のアルバイト収入:10万
+
4月~12月の給与総額:20万×9ヶ月=180万 =235万
+
6月・12月の賞与総額:5+40=45万
あれ、通勤費は?となるところですが、10万円以下であればたいていの場合非課税です。
あえて設定のところに書きましたが、間違って含めないようにしましょう。
※残業代や各種手当などは含めます。
②給与所得控除額
自営業の人は基本的に、収入-諸費用=所得となりますよね。
収入イコール所得とはならず、費用を引いてやることができるはず。
そこでサラリーマンにも、いろいろ買ったり飲んだり費用がかかるだろうってことで
自営業の人と同じように費用の計上が認められています。
それが給与所得控除というものです。
所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)
というやたら長い名前の表を使って求めるのですが、
10ページぐらいにわたるので、ここではだいたいの金額が分かる速算表を使います。
(660万超の人はこの速算表でも正しい金額が算出できます)
| 年間総支給額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| ~180万以下 | ×40%(総支給額65万未満の場合は65万) |
| 180万超~360万以下 | ×30%+18万 |
| 360万超~660万以下 | ×20%+54万 |
| 660万超~1,000万以下 | ×10%+120万 |
| 1,000万超~ | ×5%+170万 |
はてな太郎の場合、①年間総支給額が235万なので、
給与所得控除額は235万×30%+18万=885,000円
よって給与所得は2,350,000-885,000=1,465,000円ですね。
2.給与所得-③社会保険料控除-④扶養・基礎控除などの人的控除=課税給与所得金額
③社会保険料
今までの給与・賞与明細を引っ張り出してきて、
社会保険料合計額の欄を合計してみましょう。
はてな太郎の場合、基本給20万だと毎月の保険料は以下のようになります。
※23年9月に厚生年金保険料率が改正され、8.029%→8.206%になりましたが
ここでは面倒なのでもう最初から8.206%だったってことにします。
※健康保険料率は、東京の協会けんぽ加入と仮定して算出(4.74%)
※雇用保険料率は、一般の事業と仮定して算出(6/1000)
| 標準報酬月額 | 健保等級 | 健康保険料 | 厚年等級 | 厚生年金保険料 | 雇用保険 |
|---|---|---|---|---|---|
| 200,000 | 17 | 9,480 | 13 | 16,412 | 1,200 |
というわけで、4月の入社以来、支払ってきた社会保険料の総額は
給与においてはこうなります。
(健9,480+厚16,412)×8ヶ月(最初の4月は引かれていないはず) +1,200×9ヶ月(雇用保険は4月分も徴収)=217,936円
賞与においては、1,000円未満を切り捨てた額に保険料率をかけるだけです。
(雇用保険は切り捨て不要。そのままかける)
6月賞与:50,000×(厚年8.206%+健保4.74%)=6,473 50,000×雇用6/1000=300 12月賞与:400,000×(厚年8.206%+健保4.74%)=51,784 400,000×雇用6/1000=2,400 合計:60,957円
よって総額は217,936+60,957=278,893円となります。高いですねえ。。
また見落としがちですが、
学生時代の年金納付を先延ばしにしていて(学生納付特例制度)、
それを今年追納したという人は、その金額も合算できますよ。
今回は省きますが、会社に申告し忘れた人はぜひ自分で確定申告しにいきましょう。
④扶養・基礎控除などの控除
扶養人数や、その人が障害者だったり配偶者を亡くしていたりなどの状況によって、
一人につき100,000~750,000円の控除ができます。
(詳しくはhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm)
今回はてな太郎の場合は独身で誰も養っていないので、今年は関係ありません。
じゃあここではなにも控除できないのか……と落胆しているあなたに朗報です。
誰でも無条件に控除できる「基礎控除」というものがあります。
みんな平等に、一律380,000円。よかったですね。
というわけで課税給与所得額は、
給与所得1,465,000-社会保険料控除278,893-基礎控除380,000=806,107円
1,000円未満は切り捨てとなるので、806,000円となります。
3.課税給与所得金額×⑤税率=算出年税額
ここでいよいよ、今年の所得税額を算出します。
所得税額の速算表というのを使います。
| 課税給与所得金額 | 税率 | そこからさらに控除 |
|---|---|---|
| ~195万以下 | 5% | なし |
| 195万超~330万以下 | 10% | 97,500 |
| 330万超~695万以下 | 20% | 427,500 |
| 695万超~900万以下 | 23% | 636,000 |
| 900万超~1,692万 | 33% | 1,536,000 |
| 1,692万超~ | 年末調整対象外 (自分で確定申告へ) |
- |
はてな太郎は課税給与所得金額806,000×5%=40,300円(100円未満切捨)
これが本当の、はてな太郎が納めるべき税金の額ということになります。
4.算出年税額-毎月の所得税総額=プラスなら追納、マイナスなら還付
さて、いよいよあなたが追納なのか、還付されるのかが分かる瞬間です。
もう一度今までの給与・賞与明細を引っ張り出し、今度は所得税の欄を合計します。
算出年税額から合計額を引いて、プラスなら追納、マイナスなら還付ですね。
はてな太郎の場合はこうなります。
- 給与から徴収された所得税:http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2010/data/02.pdf
- 4,670×8ヶ月=37,360円
- 賞与から徴収された所得税:http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2010/data/04.pdf
あとアルバイトの源泉徴収票で、源泉徴収税額の欄に数字が入っていたら、
それも足してあげます(今回はなしとします)。
というわけで40,300-(37,360+18,000)=-15,060円
マイナスとなるので、はてな太郎は15,060円の還付をうけることになります。
結構戻ってくるな。。ほんとにあってんのか?あはは自信はありません
ものすごくシンプルなケースを想定し、ざっくりと計算しようとしたのですが
思いがけず長く複雑になってしまいました。
まあ年末調整は給与計算の一年の集大成みたいなもので、
いろいろな要素が加わって行われてるんだなということがよく分かりますね。
あ~つかれたつかれた
