みんなの給与計算教室

たのしく給与計算の方法を学ぼう

年末調整を自分でやってみよう

New! 2012.11.5
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SmartHR


こんにちは、年末調整の季節です。
今年の1月から12月まで毎月徴収されてきた、所得税の清算がおこなわれます。
人それぞれ、お金が戻ってきたり追納があったりさまざまですが
我々社会人1年目にとっては初めての年末調整ですから、少しどきどきですね。
12月の給与支給日を迎える前に、ざっくり自分で計算して心の準備をしておきましょう。

設定

  • 名前:はてな太郎(今年4月から社会人)
  • 月給20万
  • 通勤費1万/月
  • ボーナス6月:5万、12月:40万
  • 独身、扶養などはゼロ、障害者非該当
  • 生命保険や地震保険など、民間の保険未加入
  • 会社の団体保険も未加入
  • もちろんローンなし
  • 1~3月の学生時代、アルバイト収入10万有り(源泉徴収票を今の会社に提出済み)

超おおまかな流れ

(今年一年間のお給料総額-いろいろな控除)× 税率 = 所得税
 所得税-毎月源泉徴収されてきた所得税総額=過不足税額

所得税は、お給料総額にそのまま税率5%とか10%かけるんじゃなく、
実際には様々なおまけ(控除)があり、それを引いてから税率をかけて求めます。
で、その額を年末にどばっと支払うのかというとそうではなくて、
みなさん毎月のお給料・ボーナスから所得税あらかじめとられてますよね。
あれは「だいたいこのくらいだろうな」っていう概算によって算出された金額なので、
本当の税額とは差異がでてきます。それを清算するのが年末調整であり、
今まで多く支払いすぎていたら返ってくるし、少なければ追納しなくてはいけません。

もう少し詳しい流れ

1.①年間総支給額-②給与所得控除=給与所得
2.給与所得-③社会保険料控除-④扶養・基礎控除などの控除=課税給与所得金額
3.課税給与所得金額×⑤税率=算出年税額(その人の本当の所得税)
4.算出年税額-毎月の所得税総額=プラスなら追納、マイナスなら還付

1.①年間総支給額②給与所得控除=給与所得

①年間総支給額

大学4年1~3月のアルバイト収入:10万
        +
4月~12月の給与総額:20万×9ヶ月=180万      =235万
        +
6月・12月の賞与総額:5+40=45万

あれ、通勤費は?となるところですが、10万円以下であればたいていの場合非課税です。
あえて設定のところに書きましたが、間違って含めないようにしましょう。
※残業代や各種手当などは含めます。

②給与所得控除額

自営業の人は基本的に、収入-諸費用=所得となりますよね。
収入イコール所得とはならず、費用を引いてやることができるはず。
そこでサラリーマンにも、いろいろ買ったり飲んだり費用がかかるだろうってことで
自営業の人と同じように費用の計上が認められています。
それが給与所得控除というものです。
所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)
というやたら長い名前の表を使って求めるのですが、
10ページぐらいにわたるので、ここではだいたいの金額が分かる速算表を使います。
(660万超の人はこの速算表でも正しい金額が算出できます)

年間総支給額 給与所得控除額
~180万以下 ×40%(65万未満の場合は65万)
180万超~360万以下 ×30%+18万
360万超~660万以下 ×20%+54万
660万超~1,000万以下 ×10%+120万
1,000万超~ ×5%+170万

はてな太郎の場合、①年間総支給額235万なので、
給与所得控除額は235万×30%+18万=885,000円
よって給与所得は2,350,000-885,000=1,465,000円ですね。

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2.給与所得-③社会保険料控除④扶養・基礎控除などの人的控除=課税給与所得金額

③社会保険料

今までの給与・賞与明細を引っ張り出してきて、
社会保険料合計額の欄を合計してみましょう。
はてな太郎の場合、基本給20万だと毎月の保険料は以下のようになります。
※23年9月に厚生年金保険料率が改正され、8.029%→8.206%になりましたが
ここでは面倒なのでもう最初から8.206%だったってことにします。
※健康保険料率は、東京の協会けんぽ加入と仮定して算出(4.74%)
※雇用保険料率は、一般の事業と仮定して算出(6/1000)

標準報酬月額 健保等級 健康保険料 厚年等級 厚生年金保険料 雇用保険
200,000 17 9,480 13 16,412 1,200

というわけで、4月の入社以来、支払ってきた社会保険料の総額は
給与においてはこうなります。

(健9,480+厚16,412)×8ヶ月(最初の4月は引かれていないはず)
 +1,200×9ヶ月(雇用保険は4月分も徴収)=217,936円

賞与においては、1,000円未満を切り捨てた額に保険料率をかけるだけです。
(雇用保険は切り捨て不要。そのままかける)

6月賞与:50,000×(厚年8.206%+健保4.74%)=6,473
      50,000×雇用6/1000=300
12月賞与:400,000×(厚年8.206%+健保4.74%)=51,784
        400,000×雇用6/1000=2,400
合計:60,957円

よって総額は217,936+60,957=278,893円となります。高いですねえ。。

また見落としがちですが、
学生時代の年金納付を先延ばしにしていて(学生納付特例制度)、
それを今年追納したという人は、その金額も合算できますよ。
今回は省きますが、会社に申告し忘れた人はぜひ自分で確定申告しにいきましょう。

④扶養・基礎控除などの控除

扶養人数や、その人が障害者だったり配偶者を亡くしていたりなどの状況によって、
一人につき100,000~750,000円の控除ができます。
(詳しくはhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm
今回はてな太郎の場合は独身で誰も養っていないので、今年は関係ありません。

じゃあここではなにも控除できないのか……と落胆しているあなたに朗報です。
誰でも無条件に控除できる「基礎控除」というものがあります。
みんな平等に、一律380,000円。よかったですね。
というわけで課税給与所得額は、
給与所得1,465,000-社会保険料控除278,893基礎控除380,000=806,107円
1,000円未満は切り捨てとなるので、806,000円となります。

3.課税給与所得金額×⑤税率=算出年税額

ここでいよいよ、今年の所得税額を算出します。
所得税額の速算表というのを使います。

課税給与所得金額 税率 そこからさらに控除
~195万以下 5% なし
195万超~330万以下 10% 97,500
330万超~695万以下 20% 427,500
695万超~900万以下 23% 636,000
900万超~1,692万 33% 1,536,000
1,692万超~ 年末調整対象外
(自分で確定申告へ)
-

はてな太郎は課税給与所得金額806,000×5%=40,300円(100円未満切捨)
これが本当の、はてな太郎が納めるべき税金の額ということになります。

4.算出年税額-毎月の所得税総額=プラスなら追納、マイナスなら還付

さて、いよいよあなたが追納なのか、還付されるのかが分かる瞬間です。
もう一度今までの給与・賞与明細を引っ張り出し、今度は所得税の欄を合計します。
算出年税額から合計額を引いて、プラスなら追納、マイナスなら還付ですね。
はてな太郎の場合はこうなります。

あとアルバイトの源泉徴収票で、源泉徴収税額の欄に数字が入っていたら、
それも足してあげます(今回はなしとします)。
というわけで40,300-(37,360+18,000)=-15,060円
マイナスとなるので、はてな太郎は15,060円の還付をうけることになります。
結構戻ってくるな。。ほんとにあってんのか?あはは自信はありません


ものすごくシンプルなケースを想定し、ざっくりと計算しようとしたのですが
思いがけず長く複雑になってしまいました。
まあ年末調整は給与計算の一年の集大成みたいなもので、
いろいろな要素が加わって行われてるんだなということがよく分かりますね。
あ~つかれたつかれた

※この記事の内容は更新日時点のものです。法改正など制度が変更されている場合もありますのでご注意ください

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