会社やめたい!でも失業保険はいくらもらえる?
こんにちは、給与計算教室です。
そろそろ年度末、このタイミングで退職を考えている人もいる多いかもしれません。
でもなかなか転職先が見つからなかったらどうしましょう。
そんなときに登場するのが雇用保険の基本手当、通称「失業保険」です。
失業保険ってすぐもらえるの?そしていくらぐらいもらえるのか?
今日はそんな失業保険の基本をおさえます。
スポンサーリンク
設定
- 名前:給与太郎
- 年齢:30歳
- 給料:基本給30万+通勤手当3万+住宅手当5万=合計38万
- 勤続年数:5年
- 退職日:2013年3月31日
- 離職理由:自己都合退職
- 障害:なし
失業保険をもらえる条件
だれでも失業保険がもらえるかというと、そうではありません。
条件1:はたらく意思と能力があるのに、就職できない状態にあること
まずこれが大前提です。たとえば以下のケースだと失業保険はもらえません。
- 病気やけがをしている
- 妊娠・出産・育児中である
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っている
- 結婚などにより家事に専念するため、すぐには就職しない
上2つは、はたらく意志があったとしても身体の能力がともなっていないし、
下2つは、能力があってもはたらく意志がないよね、ということになります。
どうやってもらえるの?
4週間に1度、指定された日に、ハローワークに出向きます。
そこで失業認定申告書というものを提出します(画像は一部のみです)。
ハローワークはこれをみて、
この4週間での求職活動の回数や内容をチェックします。
まじめに就職活動してるなと認定されたら、右上のカレンダーにある一日一日に対して
「基本手当日額」の支給が決定されていきます*4。
スポンサーリンク
基本手当日額とは?
賃金日額×給付率=基本手当日額
賃金日額は、退職前の6ヶ月間に支払われた賃金*5を、180で割った金額です。
給与太郎さんの場合は38万(通勤手当などの諸手当も含めます)なので、
(38万×6ヶ月)÷180=12,666円(1円未満切り捨て)になります。
これが日額としてそのままもらえたら嬉しいんですけど、
残念ながら給付率というのをかけることによってガクッと減らされてしまいます。。
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2,320円以上4,640円未満 | 80% |
4,640円以上11,740円以下 | 80%〜50% |
11,740円超14,310 円以下 | 50% |
中段の計算は複雑なので省略します、、
ようは賃金日額が高いほど給付率が低くなってガクっと減ります。
給与太郎さんは下段にあてはまるので、
太郎さんの基本手当日額は12,666円×50%=6,333円になりますね。
ちなみに高収入の方は、給付率をかけてもまだ十分高かったりするので、
年齢別で最高限度額も決められています。
年齢 | 最高限度額 |
---|---|
30歳未満 | 6,440円 |
30歳以上45歳未満 | 7,155円 |
45歳以上60歳未満 | 7,870円 |
60歳以上65歳未満 | 6,759円 |
※最低限度額は年齢関係なく1,856円です。
ずっともらえるの?
仕事が決まるまで永遠にもらえるかといったらもちろんそうではなく、
ちゃんと支給日数の限度が決まっています。
しかも有効期限は退職日の翌日から1年なので、
あんまり手続き等のんびりしていると、支給日数がまだ残ってるのに
1年過ぎちゃった、なんてことにもなりかねないのでご注意を。
勤務年数*6 | 1年以上〜10年未満 | 10年以上〜20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
年齢関係なし | 90日 | 120日 | 150日 |
給与太郎さんは勤務年数5年なので、支給日数は90日。
退職日の翌日から1年の間に、
基本手当日額6,333円×90日=569,970円もらえるということになります。
イメージとしては、給与太郎さんは一枚6,333円の金券を90枚持っており、
失業していると認められた日に対して、一枚一枚消費していくっていう感じです。
ただし金券には有効期間があって、
それは退職日の翌日から1年ですよ、ということになります。
いつからもらえるの?
自己都合退職だろうと会社都合だろうと、すべての人は
まず退職日の翌日から7日間(待機期間)は失業保険をもらえません。
この待機期間中にアルバイトをすると、そのぶん支給開始日が後ろにずれます。
で、7日ぐらいならまあ待てると思うんですけど、
自己都合退職のひとは、そこからさらに3ヶ月もらえません。
この3ヶ月間を「給付制限期間」と呼びますが、じゃあこの給付制限期間中、
収入も失業保険もない状態でどうしたらいいのでしょうか。
もちろん、アルバイトすることが認められています。
しかし注意点がいくつかあります。
- この給付制限期間中+4週間のあいだに、3回以上就職活動*7をしていること
- 必ずハローワークに、アルバイトしたことを報告すること
- 単発のバイトでも短期のバイトでも大丈夫。ただしハローワークによっては、短期のバイトでも「就職した」とみなされるので、事前にハローワークに確認しておくこと
まあ基本的に給付制限期間中にいくら稼いでも、
この後もらう失業保険の額には影響ないのですが、
ハローワークによっては「それってもう失業状態じゃないよね?」
とみなされることもあるので、要確認ってことですね。
3ヶ月も待てないんですけど、、
自己都合退職でも、以下に当てはまる場合はすぐに失業保険がもらえます。
1.特定受給資格者・特定理由離職者に該当する
ハローワークインターネットサービス - 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
↑に書かれているケースに該当する場合、自己都合退職にはなりません。
その中から特に、自己都合だと勘違いしやすいケースを抜粋しておきます。
- (3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
- (4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
- (5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
- (a) 結婚に伴う住所の変更
- (b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
- (c) 事業所の通勤困難な地への移転
- (d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
- (e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
- (f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
- (g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
こういう、家庭の事情でどうしようもない時の離職なら3ヶ月待たずすぐにもらえます。
へ〜そうなんだ知らなかった〜ってかんじですよね?わたしは知りませんでした。
2.公共職業訓練を受講する
ハローワークが用意する職業訓練を受けられることになったら、
給付制限期間関係なく、職業訓練中に失業保険がもらえるようになっています*8。
これについては分かりやすい記事があったので、貼っておきますね。
知らないと損する職業訓練 - phaの日記
人気の講座は倍率も高いので、誰でも簡単に受講できるわけではありませんが、
コースも豊富に揃っているみたいなので、一度検討する価値はありそうです。
以上、失業保険についてでした。
会社都合だったり、就職困難者などの場合はまた話が違ってきますが、
今回はとりあえず自己都合退職の場合をざっくり紹介しました。
わたし自身まだ失業した経験がないのであまりはっきりとしたイメージがわかず、
それだと記事に説得力もでないので、一度体験してみたいなと思ってるんですけど、
なかなかそこまで体をはる勇気がでず、大変申し訳ございません。。。
今年は給与計算教室というよりも、社会保険教室になりそうな気がしますが
引き続きご愛読よろしくお願いします〜
※この記事の内容は更新日時点のものです。法改正など制度が変更されている場合もありますのでご注意ください
関連記事
- 作者: katsu
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/05/15
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 85回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
- 作者: 土屋 信彦
- 出版社/メーカー: アニモ出版
- 発売日: 2011/11/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
*1:特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
*2:病気や怪我、産休や育休で休んだ期間は、離職の日以前の2年間にプラスすることができます(最高4年まで)。
*3:前職の退職日と現職の入社日の期間が1年以内で、当時失業保険をもらっていなかった場合に限ります。
*4:単発のバイトなどで収入があった日に対しては、その収入金額に応じて減額されたり、支給されなかったりします。
*5:賞与や臨時支給のものは除きます。
*6:正しくは「被保険者であった期間」といいます。これももちろん、前職の勤務年数を通算できます(前職の退職日と現職の入社日の期間が1年以内で、当時失業保険をもらっていなかった場合に限ります)
*7:主な就職活動として、求人への応募、ハローワークや許可・届出のある民間機関が行う職業相談・職業紹介等を受けたこと、各種講習・セミナーの受講、求職活動方法等を指導するセミナー等の受講、個別相談ができる企業説明会等への参加、再就職を目指すための各種国家試験・検定等の資格試験の受験などが挙げられます。
*8:他にも、小額ですが受講手当や交通費なんかも出ます。