第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう~
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こんにちは。
先月から始まりました給与計算教室、
今月は残業代の計算方法について学びます。
暗黙的ななにかによってうちは残業代がでないんだ。。という方もいるかもですが、
いつの日か残業代が出ることを信じ、ぜひ前向きな気持ちで取り組んでみましょう!
はじめに
先月の教室で、給与計算には主に3つの柱があることを述べました。
1.勤怠
2.社会保険料
3.税金
1番目の勤怠の作業では、その人が何時間働いたかを正確に把握し、
それをもとに残業代の算出や、働いていない時間分を控除したりします。
この勤怠による金額が決まってこないと、あとの社会保険料や税金の計算もできない、、
というのは前回お話したと思いますが、そのくらい給与計算の要となる処理です。
今回はこの勤怠処理の中でも、特にみなさんの大切な残業代が
どのように計算されているのかをみていきます。
計算のしかた
ではさっそくですが、これが計算式ですじゃ~ん ↓ ↓
↑ 式を構成する項目①~④を、ひとつずつみていきます。
①1ヶ月の給与とは
原則、支払われるお給料すべてのことです。
しかし、以下の7つは除外してもいいことになっています。
1.家族手当 2.別居手当 3.通勤手当 4.子女教育手当 5.住宅手当 6.臨時に支払われる手当(結婚手当、出産手当など) 7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(ボーナス、勤続手当、精勤手当、奨励加給など)
特に1~6に注目して欲しいのですが、こういう手当って
働いた時間に対する対価ではなく、
人それぞれの事情・環境によって支給されるものですよね。
こういうものまで計算の対象に含めてしまうと、
家族が多い人や、定期代の高い人ほど単価が高くなり不公平です。
よって上記の手当等は、残業代の計算からははずされます。
なので逆に、「通勤手当は全員に一律○○円」、などと
みんな平等にもらえる手当は対象となります。
手当の名前で判断するのではなく、中身・性質で決まるわけです。
「うちの会社はなにが対象・対象外なんだろ。。」という方は、
会社の賃金規定などにいろいろ書いてあると思うので、一度確認してみましょう。
②1ヶ月の平均所定労働時間
①で求めた金額を、ついその月の労働時間で割ってしまいそうですが、
それだと毎月違ってきてしまうので、以下の式で1年間統一されています。
※小数点のどこかで切捨て(会社によりけり)
※切り上げはNG。分母になるので、大きいと労働者にとって不利に。
1年間の労働日数に1日の所定労働時間(会社で決められた労働時間)をかけると、
年間で何時間働くことになるのか分かりますよね。
それを12で割ると、1ヶ月あたりの平均労働時間が出るという計算式です。
(しかしこれだと休日の数に応じて毎年変わってしまうので、
会社によっては「うちはもうずっと毎年160時間!」
などと決まっている場合も多いです。
ただしその場合は従業員側が有利になるよう、
本来の計算式で算出された時間より少ない時間数が設定されているはず。
(分母が小さくなる→残業単価が高くなる)
これまた賃金規定などを確認してみましょう。)
そういうわけで、①1ヶ月の給与を、②1ヶ月の平均所定労働時間で割る
(円未満四捨五入 or 端数をつけたまま次の計算へ)ことにより、
まずは自分の1時間あたりのお給料が求められます。ようは時給ですよ時給。
はたして自分は1時間で、この時給に相応する仕事をしているのか?
と自分の仕事を見つめ直すいいきっかけになるかもしれませんね。。
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③割増率ってどのくらい?
さて、時給が算出できました。
次はそれに対して、各種割増率をかけてやります。
※以下の割増率は、あくまで法律で決められている最低ラインです。
たいていこの数字通りかと思いますが、ふとっぱらな会社だともっと高い割増率の場合もあります。
パターン | 割増率 |
---|---|
法定労働時間内(8時間以内) | 時給そのまま |
法定労働時間超(8時間超or週40h超) | 25% |
法定休日労働 | 35% |
深夜労働(22~翌5時) | 25% |
深夜労働かつ法定労働時間超 | 50%(深夜25% + 超25%) |
休日労働かつ深夜労働 | 60%(休日35% + 深夜25%) |
60時間を超える残業時間 | 50% |
*ポイント*
- そう、8時間以内であれば、割増にする必要がないんです。例えば9~17時(休憩1h)の会社だと、17~18時の間の残業代は時給そのまんまでOK。でもそれ計算もめんどうになるし、そのくらいケチケチせず、8時間を超えない残業でも25%割増してくれるのがまあ一般的かと思います。たぶん。最低ラインを上回るぶんにはまったく問題ないですからね。
- 実は休日にも種類があり、35%割増するのは法定休日だけでいいんです。
法定休日 (たいてい日曜日かと) |
35% |
法定外休日 (土曜・祝日・年末年始など) |
労働時間が週40時間超えてたら25% まだ週40時間以内だったら時給そのまま |
ただこれも、法定外休日でもうちは35%出すよ、という会社がほとんど…と思いたいですが、さっきの8時間以内の残業と違って、この違いはわりと大きいですよねえ。もしかしたら、35%じゃない会社も結構あるかもしれません。
- 休日出勤で8時間を超えて働いても、深夜の時間帯を除いて35%のままです(35+25=60%にはならない)。
- 休日と平日を振り替えて休日出勤した場合、それは平日とみなされるので、時給そのままか、その週の労働時間が40時間超えていれば25%の割増となります。
- 深夜(22~翌5時)に働くと、たとえ1時間しか出社していなくても無条件で25%の割増です。コンビニの時給なんかもそうですよね。これは深夜手当というのが、働く時間の「長さ」に対しての手当ではなく、深夜に働くという「質」に対しての手当だからです。イメージ分かりますかね。。
- 最近の法改正により、1ヶ月でどうしても残業時間が60時間を超えてしまったら、その超えた分に関しては50%の割増率となりました(中小企業には当面のあいだ猶予されています)。ほんとは残業って原則、労使協定結んでても月45時間超えちゃだめなんですけど、まあ正直難しい会社も多いのが実情なので、こういう法律ができたようです。
④残業時間
基本的には、たとえ1分の残業でも残業代は出ます。
しかし1ヶ月の残業時間を合計したとき、分単位の端数が出たら、
30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げてもよいことになっています。
※ここで大事なのは、一日ごとに切捨てるのは法律違反だってことです。
あくまで端数処理してもよいのは1ヶ月トータルの時間なので、
一度自分の残業時間が日毎に切捨てされていないか確認してみましょう。
(日毎の切り上げは違反になりません。労働者にとって不利にならないので。)
でも最近は計算ソフトがあるし、分まで計算してくれる会社がほとんどかと。
その場合、分は10進法になおして計算されます。60で割ると算出できます。
例)20時間30分→20.5
30時間45分→30.75
仕上げ
①~④をはじめの計算式にあてはめ計算し、円未満を四捨五入すれば完成です。
※最後の端数処理も会社によってまちまちで(切り捨てはNG)、
1円単位や、なかには10円単位で切り上げてくれる優しい会社なんかもあります。
いや~結構長くなりましたね。。おつかれさまでした。。
余力があれば
- みなし労働時間制(事業場外労働制、裁量労働制)
- 変形労働時間制
- フレックスタイム制
…などの場合、残業代って出るの?出ないの?という話もしたかったですが
これまた話が長くなるのでまた機会があればやります。
しかし基本的に、法定労働時間や、みなしの残業時間を超えたら
残業代もらえる、と思ってもらえばいいかと。
あと支給の話だけでなく、欠勤控除などマイナスの方法もやりたかったんですけど
これもまたまた機会があればデスネ。。
ということで、残業代の話は以上となります。いかがでしたでしょうか。
まあ実際は計算ソフトを使うので、もっとちゃちゃっと求められるんですけどね。
でもそこはぜひ、自分でおおかた計算できるようになって、
収入の目処を立てるのに役立てていただければと思います。
さて次回は健康保険についてです。
みなさん身近な健康保険ですが、一体どうやって保険料が決まってるんでしょうか。
なんとなくその月のお給料に、保険料率をかける。。と想像しがちですが、
単純にそうではないみたいです。それではまた来月~~
※この記事の内容は更新日時点のものです。法改正など制度が変更されている場合もありますのでご注意ください
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