みんなの給与計算教室

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3歳未満のお子様がいる方必見!養育特例の手続きは済んでますか?

こんにちは、給与計算教室です。最近、身の回りでベビーラッシュが続いているためなにか提供できるネタはないかと考えたところ、「3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例*1」がちょうどええかなと思いましたので書いてみます。

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一体どんな制度?

3歳未満のお子さん*2を持つ厚生年金保険加入者を対象とする制度です。例えば育休明けのママを想像してみてください。時短勤務とか残業できなかったりで、お給料下がることが一般的ですよね。もちろんそれに応じて天引きされる健康保険料・厚生年金保険料も下がるんですが、そのぶん将来もらえる年金も低額になってしまいます。

育児で大変な中頑張って働いてるのに、年金まで減らされるなんて!もうやってられない!というわけで、子育てによる将来の年金額低下を防止すべく、平成17年4月からはじまったのがこの特例措置です。

解説

毎月お給料から天引きされている厚生年金保険料ですが、これは標準報酬月額というものに保険料率(今現在だと8.56%)をかけて算出されています。基本給をはじめ、残業代や各種手当(通勤手当も!)などの合計額をこちらの表から探してみてください*3。左から2列目の金額があなたの標準報酬月額になります。

そして将来年金をもらう立場になったときも、この標準報酬月額が使われます。計算式は複雑なので省きますが、平均して高い標準報酬月額で社会人生活やってきた人にはそれなりに高い年金が、そうでもなかった人にはそうでもない金額の年金が支給されます。

で、今回のターゲット、育休明けママさんの場合どうなるかというと、
時短などでどうしても給料が下がる
 ↓
標準報酬月額も下がる
 ↓
その下がった標準報酬月額が将来の年金額の計算にも反映されるなんてことになってしまいます。そこでお子様が3歳未満の間だけ、下がる前の標準報酬月額を使って年金額を計算してあげますよ、というわけなのです。

ポイントは、天引きされる保険料の計算には下がった「後」の標準報酬月額が使われるということ。もともとは標準報酬月額30万だったママさんが、時短のため給料が下がり標準報酬月額も26万になった場合、特例措置の手続きをすることで、将来の年金額計算には30万が使われますが、給与から天引きされる保険料は26万に料率をかけた金額でOKなのです。

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パパも対象!しかも理由はなんでもOK

「これって僕は関係ないよね?ママだけの制度じゃないの?」そう思うパパも多いかもしれませんが、ノンノンノン!です。お子様が3歳未満であれば、パパママ関係なく適用されます。(ママは専業主婦で、パパだけ適用というパターンもありです。)

「でもたしかに妻は時短勤務で給料下がるから手続きしたほうがよさそうだけど、僕は時短とかないしなー」いえ実は、お給料が下がる理由はなんでもいいんです。時短勤務による減額じゃなくても、業績悪化による賃金カットとか、、営業成績が芳しくなくて手当が減ったとか、、うう書いててつらくなってきた、、まあそういう育児に全然関係ない理由でも大丈夫なんです。

あと引っ越し等で通勤手当が安くなった場合もあてはまりますよ!通勤手当もきっちり標準報酬月額に含めますからね。保育園入園のために引っ越すご家庭もありますし、該当するパパさんもいらっしゃるのではないでしょうか。

とるべき行動

まずは会社の担当者に、養育特例の手続きがされているか確認してみましょう*4。もしされていなかった場合は以下の書類を準備して、会社経由で年金事務所に提出してもらいます*5

1.厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書*6
2.戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
3.住民票(コピー不可)
詳細:http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=2063

そんな制度知らなかったぞ!!

まあまあ落ち着いてください。過去2年間までなら遡って申請できますので、まだ少しでも間に合う方は今からでも申請しましょう。

でもこれ、会社の義務ではなくて、あくまで本人の申し出によりおこなわれる手続きなんですよね。なので会社がやってくれてなかったことに文句言えないのが現状なのです。ママさんのほうは出産手当金やら育児休業給付金やらなにかと産休育休がらみの手続きがあるので、それらとセットでやってしまう会社が多いかと思うんですが、パパさんについてはノータッチの会社も多いんじゃないでしょうか。。従業員が多すぎると把握するのも大変だし、あとはやっぱりそもそもこういう制度を知らなかったっていう担当者もたくさんいると思います。もっと世間に広まってほしい制度ですね。

まあまあ

あくまでも標準報酬月額が下がったら影響がでてくるっていう話なので、特に下がらなければなんの問題もないんですけどね。でも人生なにがあるか分かりませんし、先ほども述べたように後から申請しても過去2年分までしかできませんので、お子様が生まれたらとりあえず出してみてはいかがでしょうか。


以上、3歳未満の養育特例措置についてでした。育休産休関係ネタはたくさんありそうなので、また今度じっくり書いていきたいと思います。

※この情報は更新日時点のものです。法改正など制度が変更されている場合もありますのでご注意ください

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*1:厚生年金保険法26条

*2:同居していることが条件です。単身赴任の方は対象外となります。

*3:協会けんぽ(東京)の料率表になってますが、標準報酬月額を求める部分(左4列)は全国共通誰でも一緒です。

*4:途中で転職した場合は、転職先でも再度手続きする必要があります。ただし、前職と転職先のあいだ(厚生年金保険未加入期間)が1年以内であることが条件です。

*5:もうすでに退職している場合は自分で年金事務所へ提出します。

*6:自分の名前と生年月日、子供の名前と生年月日、一番右下の(申出人)のところだけ記入しておけば、あとはまともな会社であれば担当者が記入してくれるかと思います。

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