【平成28年】一番わかりやすい年末調整書類の書き方〜保険料控除申告書〜
こんにちは、給与計算教室です。ここ数年はもう年末調整のためのブログになってしまってますが、開き直って今年もやります、年末調整書類の書き方!
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といっても今年は「平成28年分 給与所得者の保険料控除申告書(通称まるほ)」の書き方のみです。しかもだいぶ出遅れた感あり。。「平成29年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(通称まるふ)」は、去年書いた平成28年版を参考にしてください。生年月日の条件を一年ずらしてくださいね。
またこの記事を読んでも分からない、とにかく面倒くさい、という方はWebで年末調整ができる画期的なサービスもありますんでよかったら担当者の方に教えてあげてください。きっと全社員が幸せになる解決法です。
そもそも年末調整とは
- なんらかの所得(給料をもらってたら給与所得、山持ってたら山林所得、土地持ってたら不動産所得など)がある人はみな、所得税という税金を国に納めなければならない
- 自営業の人は所得税の計算から納付まで自分でやっている(もしくは税理士さんに依頼する)が、会社勤めをしている人は基本的に会社がやってくれることになっている
- でも年末にいきなり「あなたの今年の所得税は◯◯円になりましたので12月の給与で天引きします」と言われても困るので、あらかじめ毎月の給与から、概算の所得税が天引きされている(毎月少しずつ積み立てていくイメージ)
- 一年間天引きされてきた金額が、年末に最終確定した所得税額より多ければ差額がかえってくるし、少なければ追加でとられる。この諸々の清算を年末調整という
で、なんで会社に年末調整してもらうためにわざわざ書類を書くのかというと、少しでも所得を減らして所得税を安くするためです。
一見わかりやすそうに見えて実はそうでもない図を描いてみました。
所得*1に税率*2をかけると所得税を算出できるのですが、この所得、あなたが申告することでもう少し削ることが可能です。
控除っていうワードのせいで難しく感じるかもしれませんが、ようは所得から削る、マイナスする、ってことです。図の4つだけなく他にもいろんな種類の控除があり、所得をゴリゴリ削ることができます。例えば扶養控除は法律で38万円と決まっているので、所得から38万円を削ります。たまに、所得"税"が38万円安くなると勘違いする人がいるのですが、削るのは所得のほうなのでご注意を。
そしてこの所得を削ってもらうためには、扶養家族の情報や保険料の金額を会社に知らせないといけないので、ちゃんと申告書を書いて提出しましょう、というわけです。控除は大きく2種類に分類され、それぞれ申告書も分かれています。
- 扶養控除や障害者控除など人に関する控除
→扶養控除等(異動)申告書(通称まるふ) - 生命保険料控除や地震保険料控除など保険料に関する控除
→保険料控除申告書(通称まるほ)
※本来1に分類される配偶者特別控除は、スペースの都合上で2です
※でもやっぱ面倒だし〜別にちょっとぐらい所得税高くなってもいいから提出はあきらめるわ、という人もいるかもしれません。別に咎めはしないんですが、氏名・住所・押印だけでいいのでまるふだけは出さないといけません。理由はすいません今回は省略します。。とにかく書いて出すのです。。
というわけで前置きが長くなりましたが、これから2の保険料控除申告書(まるほ)の書き方を説明していきますよ。
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書面の構成
※基本的には住民票のある住所を書きますが、住民票をまだ移してない・単身赴任などの理由で、実際に住んでいる住所≠住民票住所の人もいると思います。その場合は実際に住んでいる住所を書くのが一般的です。そして欄外の余白に住民票の住所を記入しておきましょう。最終的には、枠内に記入した市区町村に対して住民税を納めることになります。
※ちなみに右側の色の付いていない部分、配偶者特別控除についてはこちらの過去記事をご参照ください。
ぱっと見複雑に見えますけど、要は「今年こんな保険料をこれだけ払ったので所得から削ってください=控除してください」という依頼書みたいなものです。ただし③と④は、払った保険料全額がそのまま控除の対象となるのですが、①と②については上限があったりするので「自分で控除額を算出する」という作業をしないといけません。そのせいでちょっとややこしいんですが、落ち着いてやっていきましょう。
では①から順にみていきます。
①生命保険料控除
3種類あります。この分類の時点で引っかかる人多数です。介護医療保険料なのに、一般の生命保険料の欄に記入しているとか。。一般の生命保険料なのに個人年金保険料の欄に記入しているとか。。これはもう保険会社から送られてきた証明書をよく見て!!!としか言えないので頑張ってください。例えば「年金」と書いてあるからといって、個人年金保険料だ!と判断するのは早計です。年金という種類の一般の生命保険料かもしれません。答えは必ず問題文に。。いや証明書に書いてあるのでよく探してみましょう。まあ保険会社ももうちょっと分かりやすいやつ作ってほしいですけどね。。
- 一般の生命保険料
- 介護医療保険料
- 個人年金保険料
時間の都合上、一般の生命保険料の記入例のみになりますが、介護医療保険と個人年金保険料も同じ要領なので参考にしてください。
【記入例】
- 保険会社等の名称、種類、保険期間
証明書に記載されているはずですので、そのまま記入します。保険会社の名前がめっちゃ長くて入りきらない!という場合は、略称でもかまいません。伝わればそれでOKです。
- 保険等の契約者の氏名
かわりにあなたが保険料を支払ってあげたのであれば、配偶者やその他親族が契約している保険でも対象になります。
- 保険金等の受取人(氏名・続柄)
たまに証明書に記載されていなかったりするので、そのまま空欄で提出する人がいるのですが、きちんと記入しましょう。年末調整で対象となるのは、受取人が本人または配偶者その他の親族と決まっており、まあそれ以外にあんまりいないだろって感じですが、いちおう受取人が適切であることを証明するために書いておく必要があります。
- 新・旧の区分
該当するほうに丸をつけましょう。ちなみに介護医療保険料は必ず平成24年1月1日以降となり、旧はあるはずないので新旧の区分の欄がありません。
新 | 契約締結日が平成24年1月1日以降の保険 |
---|---|
旧 | 契約締結日が平成23年12月31日以前の保険 |
- あなたが本年中に支払った保険料等の金額(分配を受けた剰余金等の控除後の金額)
ここも非常〜に間違いやすい部分ですね。保険会社によっては言い方が違ったりしますが、証明書には「証明額」と「参考額(申告額)」2種類の金額が記載されており、どちらを書けばいいのか迷ってしまいますが、正解は「参考額(申告額)」のほうです。
証明額 | ハガキを発行した時点の支払金額 |
---|---|
参考額(申告額) | このまま契約内容を変更せずに、 平成28年12月31日まで支払っていった場合の金額 |
年末調整は、年末時点の情報をもとに行うため、今年なら平成28年12月31日時点での保険料支払額を書く必要があるのです。なので書類にはかならず参考額(申告額)を書きましょう。また、かっこ書きで(分配を受けた剰余金等の控除後の金額)とありますが、配当金などを受け取った場合はその金額をマイナスしてくださいねという意味です。しかしたいてい、証明書の参考額はすでにマイナスされてる金額かと思うのでそのままで大丈夫だとは思います。
- Aの欄、Bの欄
Aには新契約の保険料、Bには旧契約の保険料の合計額をそれぞれ書きます。
- ①の欄、②の欄
新保険料と旧保険料で、使用する計算式と上限額がそれぞれ違うのでご注意を。
当てはめる金額 | 使用する計算式 | 上限額 | |
---|---|---|---|
①の欄 | A(新保険料の合計額) | 計算式Ⅰ | 40,000円 |
②の欄 | B(旧保険料の合計額) | 計算式Ⅱ | 50,000円 |
記入例の場合こうなります↓↓
①:Aの欄 24,000円 → 24,000 ✕ 1/2 + 10,000 = 22,000円
②:Bの欄 150,000円 → 50,000円
- ③の欄
①と②を合計します。記入例だと72,000円になりますが、最高40,000円と書いてあるので、40,000円を超える部分は切り捨てて40,000円と記入します。
- イの欄
オレンジ色の②と③の額を比べて、金額の大きいほうを記入します。記入例の場合③50,000円のほうが大きいですね。
- 生命保険料控除額計
こんな感じで介護医療保険料と個人年金保険料も書き進めていき、最後にイ・ロ・ハの3つを合計します。しかしここでも上限が決まっており、120,000円を超えたら切り捨てて120,000円と記入します。
!!!ポイント!!!
行が足りなくなった場合は、線を引いて行を増やしたり2枚目を作ったり、分かりやすいように工夫してくださいという感じなのですが、もうとっくに限度額を超えているのであればそこで記入をストップしたほうがシンプルです。
例えば一般の生命保険料と個人年金保険料はそれぞれ(新)と(旧)の2種類がありますが、(旧)のほうが控除額が大きいので、まずは金額の大きい順に(旧)を書いてみましょう。例えば10万を超える一般生保(旧)がひとつあればその時点ですでに控除限度額5万に到達するため、残りの(旧)や(新)の一般生保生命保険料は申告しても何の役にも立ちません。
保険の区分 | 控除限度額 |
---|---|
一般の生命保険料(新) | 40,000円 |
一般の生命保険料(旧) | 50,000円 |
介護医療保険料 | 40,000円 |
個人年金保険料(新) | 40,000円 |
個人年金保険料(旧) | 50,000円 |
トータルでの控除限度額は12万円になります。とりあえず最初は鉛筆で書いて計算してみるのがいいかもしれませんね。
②地震保険料控除
2種類あるので混同しないようにしましょう。
1. 地震保険料
自分または自分と生計を一にする親族の
- 家屋(常時そこに住んでいること。別荘などはNG)
- 生活に通常必要な家財
の損害を補填する契約のうち、地震等損害部分の保険料が該当します。たいてい火災保険とセットで地震保険に加入すると思うのですが、火災保険の部分は対象外です。たぶんハガキには地震保険料の部分が記載されていると思うので、そのまま記入すれば大丈夫かとは思います。
2. 旧長期損害保険料
以前は損害保険も対象だったのですが、平成18年の税制改正でなくなってしまいました。ただし経過措置として、以下の条件に当てはまる場合は申告可能です。
- 保険期間の始期が平成18年12月31日以前であること
- 保険期間が10年以上であること
- 保険期間の満了後に満期返戻金のある契約であること
- 平成19年1月1日以降に保険料変更を伴う内容変更がないこと
【記入例】
!!!ポイント!!!
《その1》
ひとつの契約で、地震保険料と旧長期損害保険料の両方を支払っている(平成18年末までに契約した長期損害保険契約に地震保険も付いている)場合には、いずれかを選択してください(計算してみて、金額の多い方を記入するのがお得です)。
《その2》
地震保険には未加入で旧長期のみの場合でも、ハガキの名称は「地震保険料控除証明書」となっていたりします。内容をよく確認して記入しましょう。
《その3》
とにかく一番下、赤・緑・オレンジで塗りつぶした3箇所が、それぞれの上限額(最高◯◯円)を超えないように注意しましょう。この記入例の場合、オレンジの欄で合計51,000円となるはずですが、上限50,000円なので1,000円は切り捨てられています。
《その4》
①生命保険料と同じく、証明額ではなく、12/31時点での参考額(申告額)を記入しましょう。
③社会保険料控除
【記入例】
③社会保険料控除 と ④小規模企業共済等掛金控除 は計算不要なので簡単だと思います。今年支払ったor支払う予定の金額をそのまま記入するだけです。まずこの③に該当する主なものとしてはこちら↓↓
- 国民年金保険料
- 国民年金基金の掛金
- 国民健康保険料
!!!ポイント!!!
《その1》
家族の分も払ってあげたなら、その保険料も対象になります。例えばまだ大学生の娘の国民年金保険料を父親が支払ったなら、父親はその金額をここに記入できます。
《その2》
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料なども社会保険に該当しますが、基本的には給与から天引きされている=会社のほうで金額を把握しているはずなので記入する必要はありません。また今年の途中で転職してきた方についても、前職で天引きされていた保険料のことは記入不要です。今の会社に入社した時に前職の源泉徴収票を提出したorこれから提出する予定かと思うのですが、そこには前職で天引きされてきた保険料の合計額がバッチリ記載されているので、この③の欄には記入しなくてよいです。
《その3》
これは④も同じですが、この欄に書いた金額は全額控除対象となります。①や②と違って上限がありません。なので払った分だけすべて書かないと損するので、証明書や記憶を頑張ってかき集めて記入することをおすすめします。
《その4》
もちろんこれも①②同様、12/31までに払う予定の金額も含めてください。
④小規模企業共済等掛金控除
【記入例】
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金(旧第二種共済契約を除く)
- 20人以下の会社や個人事業主さんが加入できる共済制度のことです。廃業になってしまった時に、生活資金としての退職金が受け取れる仕組みです。
- 個人型又は企業型年金加入者掛金
- 確定拠出年金のことです。
- 心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
- 精神または身体に障害がある方を扶養している保護者に万が一(死亡・重度障害)のことがあった時に、給付金が支給される制度です。
以上、保険料控除申告書の書き方でした。無事に書き終わりましたか?あと今年は源泉徴収票の読み方について更新できたらなと思っています。それではまた〜
※この記事の内容は公開日時点のものです。法改正など制度が変更されている場合もありますのでご注意ください。
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